転機

自分の進む道を決定付けた経験、瞬間というのがある。
その瞬間に、それと気付く場合もあるだろうが、時間が経ってからじわじわ来る場合もあるだろう。
経験のインパクトも、衝撃の一撃もあれば、チクッとするのもあるだろうけど、強弱はともかくそれをどう抱えてつないでいくかに、人それぞれの個性がある思う。

近江正隆さんは、海での事故であわや・・・という経験を、しかも立て続けに2度をしたことから漁業という「命がけで営む産業」を再考する。ただし、それはそこで自然を相手にするのだから、慎重に仕事をする契機としたというのではなかった。近江さんの救援に、海のおとこたちは、「最優先」で駆けつけてきた。「すべてのことが努力をすれば報われるわけではない環境を生き抜く」ためには「協力しあい、助け合う」ことが最優先であることを、身をもって知ることになった。
近江さんは助けてもらったことから、今度は自分が仲間をどう助けることができるかを真摯に考える経験に開かれることとなった。


自分の使命とはなにかを悶々とする、近江さんはある人から「使命って、命を使うことなんだよね」と聞いて
そうかと気付く

僕の命はあの転覆事故で失われたようなものだった。海に出て、命がけで自然と向き合い、魚を獲ってくる仕事に憧れて漁師になった、僕の漁師としての命はあの瞬間に終わっていたのだ、同じ漁師である仲間に救われた命を、僕でなければできないことに使わなくてどうするのだ?


そしてその結果が船をおりて、生産者と消費者。また田舎と都市をつなぐ「架け橋」になろうと決意をした。

だから僕は船をおりた 東京生まれの元漁師が挑む、フードアクション!

だから僕は船をおりた 東京生まれの元漁師が挑む、フードアクション!