ちいさな労働者

20世紀初めのアメリカ。
工場、炭鉱、農場に小さなこどもたちが、稼ぎ手として働いていた。
長時間劣悪な環境で小さなこどもたちが働いている事実を、
ルイス・ハインは写真によって世間に伝え、こどもたちを救おうと行動した。

この本は、ルイス・ハインが時には危険な目にあいながら撮った写真とともに、
彼の足跡を紹介している。



マニュエルは、シーフード工場で働いている5歳の男の子だ。
糸がほつれ、汚れのしみついた前かけをして、両手に大きめのエビをいれるバケツを持ち、
裸足でしっかりとたっている。
彼の目はまっすぐこちらを―ルイス・ハイン―を見ている。


マニュエルは来る日も来る日も、小さな手で牡蛎やえびの殻をむく。
エビの殻をむくときに出る酸の強い汁で手は荒れほうだい。
きっと、ナイフでケガをするときもあるだろう。


小さなマニュエルの背後を覆い尽くす牡蛎の殻の山。
もう長い期間、遊びも勉強もなしに、ただ朝から晩まで同じ作業を繰り返し、
彼以外のたくさんの子どもたちが同じであることを、殻の山は語っている。


今も、マニュエルのような子が世界にはいる。
子どもの教育の機会を、未来を、殻のように捨てるような社会がなくなりますように。

ちいさな労働者―写真家ルイス・ハインの目がとらえた子どもたち

ちいさな労働者―写真家ルイス・ハインの目がとらえた子どもたち