交友

出てくる男も女も、なんかゴージャスでお洒落で大人で豪快で圧倒されてしまいます。
これも舞台が『イタリア』だからこそなんでしょうか。
こんな人になりたい、と憧れるよりはむしろ、著者と彼らとの友情の育み方に魅かれました。

シモネッタの男と女

シモネッタの男と女

そして米原万里さん在りし日の、お2人のやりとりを記した
『はかなき露の字に代えて』『あとがき 羊頭狗肉のシモネッタ』は田丸さんの哀しみがキリキリと伝わって、読むのがつらかったです。

田丸さんは本の終わりに、米原さんの最後の字を紹介してます。

「坂」
登るときには希望があって、降りるときには……勇気がいる。
まっすぐで平坦な道は退屈だ。私は起伏に飛んだ道が好き。

これを、涙なしには読めないと田丸さんは紹介する一方で、この文に触れると

降りる勇気だけでなく、上るときの希望も忘れず、堂々と坂を降りて行ける気がするのだ。

と書いており、友は亡くなっても心のうちに今後も友情を育み、人生を力強く歩む田丸さんの姿を感じました。田丸久美子さんの今後に注目していきたいです。